岳本コラム

当コラム欄は、本来であれば岳本先生の手によるご研究やエッセイが出るべきところと思われますが、その“柿落とし”を、一生徒による企画・編集で、先生へのインタビューで飾らせていただくことになりました。岳本先生の生徒の皆さんが、日頃のレッスンのなかで、広範な知識にもとづく奏法や技術のご指導のみならず、先生の片言隻句にまであふれるユーモアと生真面目の不思議な共存に、おおいに楽しまされ、また励まされていることと思います。
そんな岳本先生の魅力をより多くの方々にも知っていただけたらという、生徒の皆さんの思いを代表しての、ロングインタビューです。全5回に分けてお届けいたします。
生徒:太田香保

2015.01.20/岳本先生インタビュー(3)

ピアノ・レッスンの方法論

■ チェルニー30番は試金石

Q:理想的な練習量というのはどれくらいですか。リストとショパンの言っていることがずいぶん違うようですが?

T:リストはいっぱいやる人で、ショパンはあまりやらない人でしたね。練習量は、脱力ができたかどうかがまず前提なので、それによっても違うんですが、理想で言っていいなら、1日7~8時間くらいでしょう。多すぎますかね。3~4時間にしておきましょうか(笑)。
音大に行きたい人は、最低でも3~4時間の練習は必要ですよね。趣味でやる人でも、毎日、最低でも1~2時間はやったほうがいいですよ。もちろんもっとやったほうがいいんですけど。
指のトレーニングを15分、スケールとアルペジオを全調で15分。ここまでで30分ですね。それから練習曲を1時間。次にバッハを1時間。最後に、いまやっている曲を2時間。これで4時間分です。毎日これができれば理想的ですね。
そんなにできないというなら、これを基本にメニューをつくっていけばいいんです。たとえば、スケール10分、エチュード20分、バッハ10分、曲を20分というふうに。
ともかく、いろいろやったほうがいいです。とくにバッハはやったほうがいいですよ。やり続けないと、あとからやろうと思ってもしんどくなりますから。

  • リスト

    リスト

  • ショパン

    ショパン

Q:「バイエル」「チェルニー」って、やっぱり必要だと思いますか?

T:最近よく聞かれる質問ですね。でもぼくは、「なぜ、それがいけないんですか」って聞きたい。ようするに「バイエル」や「チェルニー」はつまらない、子どもたちもやりたがらない、もっと楽しい曲で練習しちゃダメなんですか、ということですよね。でもそれは教えるほうの責任ですよ。つまらなくなるような教え方をしているせいだと思うんです。
最近はいろいろ新しい教則本が出ていますが、歴史的評価のある教則本のほうが、やっぱり弾きやすいんですよ。実際にも、ドレミファソしか使わない曲であっても、時代的作曲家のつくった練習曲のほうが弾きやすいって子どもたちも言いますね。
「チェルニー」が古典派の人なので、それ以降の時代の曲が学べないということはありますが、それならロマン派や近代のドビュッシーやカバレフスキーといった作曲家がつくった小品を補足して取り入れればいいんです。それとバッハを筆頭にバロックの作品をやったほうがいいです。
「チェルニー」が弾けないとその先もないですよ。ベートーヴェンの慣用句を学ぶためにも、「チェルニー」はやったほうがいい。「チェルニー」を弾けてあたりまえですよね。弾けてから好き嫌いを判断して欲しい。それから、「ソナチネ」もちゃんとやらないと、そこから古典派の曲につながっていきますから、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンは弾けません。山崎孝先生は、「才能ある児童の将来を左右するのは、バッハとチェルニーの課題だと痛感する」と、さらに「児童の才能に頼りすぎ、基本であるバッハとチェルニーを怠り、耳触りの良い曲を児童の望むがままに弾かせる教師はモーツァルト等の様式感を明確に学習者に指導することは難しい」ともおっしゃっておられます。

  • チェルニー

    チェルニー

  • バイエル

    バイエル

Q:そんなに難曲でもないのに、これを弾かせたらその人の実力がバレるという、試金石みたいな曲ってありますか?

T:いっぱいあると思いますけど、やっぱり「チェルニー30番」ですかね。いまそのセミナーもやっているんですが、テクニックをみるのには、これが一番いいんです。「100番」でもなく「40番」でも「50番」でもなく、「30番」がいいですね。「60番」でもいいんですが、ちょっと難しすぎるので。同じパターンを何度も繰り返していく曲を、いかに均等に弾けるかというところで、指のメカニズムがきちっとできているかどうかがわかります。「30番はもう終わりました」という人に弾かせてみると、ひどい弾き方をする、ということもよくあるんですよ。

Q:当然、楽譜を読む力も必要ですよね?

T:楽譜を読めないのに弾ける人、読めるのに弾けない人ってけっこういますね。最近よく、楽譜を見ながら弾けないという人がいるんです。手や指を見てないと弾けない、だから先に暗譜しないと弾けないって。でも、これはあまりよくないですね。ちゃんと楽譜を見ながら弾けるように訓練したほうがいいと思います。
もちろん、最終的には暗譜しなくちゃいけませんから、覚えるのはいいんですが。要は、どんな手段を使ってでも、正しい演奏を暗譜でできるようになればいいんですけどね。それができないのでみんな困っているんですから。

Q:ピアノをやる人に絶対音感は必要ですか?

T:関係ありません。絶対音感はいらないです。それよりも「耳がいい」ことのほうが大事です。「耳がいい」というのは、ちゃんとピアノの音が聞こえるかどうか。正しく打鍵している音かどうかを聞き取れるかどうか。  ピアニストというのは、楽器の構造上、一生、自分の音をナマで聴くことができないんですよ。だから自分がどんな音を出しているのかを、予測しながら弾く必要があります。たとえば、赤い音を出そうとして、鍵盤上で赤くすると、赤黒い音が出ている、ということになっちゃうんです。赤い音を出すために、鍵盤上はオレンジ色にしておく、といったことが必要で、そのために「耳がいい」ということが大事になるんです。
耳を鍛えるためには、いろんなホールで演奏を聞いたり、自分の演奏を人に聞いてもらったりするといいですよ。家で弾くときだって、ピアノのそばで聴くのと、離れて聴くのとでは、音が違いますからね。ちゃんとわかっている人に聞いてもらうのが一番いいですが、音がぼやけているとか、音がきつすぎるとか、そういうことを言ってもらうだけでもいいでしょう。そんなに大きな音を出しているつもりはないのに、うるさい音になってしまっているというようなことに気づければいいんです。
本当は、ちゃんとハンマーが弦に無理なく当たっているかどうかを聞き分けることが大事なんです。フォルテであろうがピアニシモであろうが、適切な圧力でハンマーが弦を打っているかどうか、さらにはそれが無理なく響板で響いているか。そこまで聴く必要があります。弾く人が聴く音というのは、イメージとしてボディと譜面台の間から醸し出される香のような響きです。お香の煙がたちのぼって香りが空中に浮遊していくような。

Q:ピアノの構造がわかってないと音は「聴けない」ということですか?

J.N.フンメル

T:100%そうではありませんが、構造を知っている方が的確に分かりやすいと思います。このあいだベーゼンドルファーの調律の人と話したときも、先ほど申し上げたように「イメージとしてボディと譜面台の間から醸し出される香のような響きを聴くんですよね」と訊いたら、「そうです」って言ってました。でも、そういうことをわかっている人はなかなかいないんだそうです。ぼくの場合は、ベーゼンドルファーを弾くようになってから、そういうことがわかるようになりました。
ベーゼンドルファーはヤマハやスタンウェイに比べて、音の立ち上がりが遅いんです。あとからジワーと鳴ってくる。そこを最後まで追究していかないと、音がわからないんですね。パーンと鳴って消える音じゃないので、ジワジワ浸透してくる響きを耳で逃さないようにしないといけない。ぼくの場合は、それをなんとか聴こうとするうちに、耳が訓練された感じがしますね。まだまだ聴けてないと思いますが、以前よりもずいぶん自分の音が聴けるようになったと思います。
でもピアノを置く場所によっても、音はものすごく変わります。このベーゼンドルファーだってホールに持って行ったらぜんぜん違う響きになるし、ウィーンに持って行けばカ湿気が取れて良く響く音になるでしょう。

  • ベーゼンドルファー

    ベーゼンドルファー

  • スタインウェイ

    スタインウェイ

  • ヤマハ

    ヤマハ

■ どうすれば脱力できるか

Q:脱力と運動神経は関係ありますか?

T:運動神経はあればあるほどいいでしょうね。運動といっても、自転車が乗れるようになるとか、泳げるようになるとか、ああいう感覚に近いものだと思います。フィギュアスケートも近いものがあるように思います。回転ジャンプしているあの感覚。あれが脱力の感覚ですよ。一瞬ぱっと力が入って飛んで、回転しているあいだは力が完全に抜けた状態になる。ああいう感じになれればいいんです。鉄棒なんかもそうでしょうね。
野球でボールをバットで打つ感じも近いですよ。まさにバットが鍵盤で、ボールがハンマー。決して力まかせに打たない。ああいうふうに、瞬間的にぱっと力を入れて、瞬間的にぱっと緩める運動神経が求められるものは、みんな共通していると思います。
イチローがバットをフラフラに軽く持ってますよね。宮本武蔵もそうだったそうです。肖像画をみると、腕の力が抜けた状態で刀を持っているんだそうです。そこからパーンと瞬間的に切り込むのと、イチローの打ち方に共通点があるなんて話を聞いたことがあります。だから武道でも脱力が関係しているようですよ。

  • オーストリア国旗

    イチロー

  • ベーゼンドルファー

    ジャンプ

  • 宮本武蔵

    宮本武蔵

Q:自分が脱力できているかどうかって実感できるんですか?

T:できていれば実感できますよ。腕が水に浮いたような状態になるんですね。肩から自然にストーンと腕が落ちてくるような感じです。腕の重さを指先とMP関節の2カ所で支えるんです。ただ、せっかくできているのに、それが脱力だというふうに実感できない人もいるみたいなんですよ。気づかないで通りすぎちゃう。まさかこんなことじゃないだろうって思っちゃうんですかね。こんなにグラグラしていては弾けないと思ってしまうんでしょうね。
 なかには3カ月くらいでわかる人もいますが、6年かけてもわからない人もいます。でも実際には、そんなに時間がかかるわけではなくて、できていることに気付かないで通りすぎちゃっているんじゃないでしょうか。
 脱力できているかどうかは、音を聞けばわかります。力が入りすぎると、ハンマーが弦を押し付けすぎて、音が鳴りませんから。音がきれいに出せるようになれば、脱力の方向に行っていると思いますよ。肘が痛くなくなったとか、腕のだるいのが治ったとか、そういうことだけでも、脱力が進んできていると言えると思います。

ピアノのハンマー

ピアノのハンマー

Q:先生ご自身は脱力を体得するのに一番苦労したことは?

T:緩めることよりも、支えるほうですね。指の第一関節とMP関節を鍛えることです。いまだに進行中です。ぼくもまだまだです。関節って筋肉とは違って、鍛えにくいんですよ。腱を鍛える、引っ張る力を鍛える感じです。指の逆立ちとか、指先の力だけで引っ張るとか、そういうふうにして鍛えるんです。弾く時もとくに指先を意識するんですが、指先を意識すると固くなってしまうんですね。できるだけ指先を起こすのと、MP関節で腕の重さを支えること。それが難しいですね。緩めることはたいして難しくないですよ。

Q:脱力しやすい体質ってありますか?

T:からだが柔らかい人のほうがいいですよね。それから性質も関係あるかなあ。あまり真面目じゃないほうがいいのかもしれない。かっちりやろうとしすぎないほうがいいというか、緊張しすぎない気質がいいというか、リラックスできない人には難しいというか。これは性格のグータラとは関係ありません(笑)。グータラな人でもからだが緊張しちゃう人がいますよ。

Q:ほかに鍛えたほうがいい場所は? たとえば腹筋とか背筋とか?

T:もちろん、腹筋も背筋も鍛えたほうがいいし、腕立て伏せもやったほうがいいですよ。できるものなら指立て伏せも(笑)。そうやって鍛える人もいますよ。それから、体力はあればあるほどいいです。タフなほうがいい。精神も肉体もタフになったほうがいいに決まってます。なんでもそうでしょう。日本舞踊やるにしても同じでしょう。あまりにも当然のことですから、こういうことは人知れずちゃんとやるようにしてください(笑)。
それと、ピアノを弾くときは、腰が落ちてはだめなんですね。ピアノは、鍵盤もペダルも下に押し下げますが、上体は上に向かうというか、吊り上げる感じがいいんですね。背中を伸ばすというのではなく、腰を持ち上げる。「胃を持ち上げる」という言い方をする先生もいます。腹筋が弱いとどうしてもカラダが前に傾いてしまうんです。なんとか腰を起こさないといけない。だから腰が悪い人は、気をつけないと腰が痛くなっちゃうんですよ。

日本舞踊

日本舞踊

■ 理想のピアノの先生

Q:先生が考える、理想のピアノの先生ってどんな感じですか?

T:ぼくが考える理想の先生は、生徒に媚びない人です。その先生の人間性がどうであれ、付きたいと思える人。先生の性格とは関係なく、技術や音楽的なことを学びたくなる人。ぼくがずっとそういう先生に巡り合ってきましたから。師事した先生方の性格が悪いということを言っているのではありません!
でも何より、技術をしっかり教えてくれる先生がいいですね。フィギュアスケートなんかは、技術点と芸術点を分けてますが、最終的にはあれは一つのものだと思うんです。ピアノにも技術点と音楽点はありますが、結局、技術がなければ何も始まらないんですね。だからどんなイヤな性格の先生でも、技術を具体的に教えてくれる先生がいれば、ぼくも習いたいですよ。
もっといえば、その技術を習得するために、こういう練習をしたほうがいいですよ、というふうに教えてくれる先生。こういう先生、ありそうでいて、なかなかいないんですよ。

Q:先生ご自身はすごくそこを教えてくださいますよね。

T:本当の生徒思いの先生というのは、技術を出し惜しみしないでちゃんと教えてくれる先生のことだと思うんです。とくに子どもに対してはちゃんとやるべきだと思います。
自信がない人に限って、生徒にむやみにやさしくするようなところがあるように思います。でも子どもはそういうところを見透かしてますよね。「この先生の言うことはちゃんとやらなくちゃ」と思わせるくらいでないとだめでしょう。わざわざ怖い先生になる必要はないんですが、機嫌よくする必要もないし、子どもをご機嫌にさせてあげる必要もない。ぼくはそんなふうに考えてますけどね。
学校の先生にも、そういう人いますよね。すごく怖いのに、生徒が慕っていて、ちゃんと言うことを聞く先生。ぼくが教わるなら、やっぱりそういう先生がいいです。もうちょっと言うと、中学校でテニスとかブラスバンドのコーチをやっているような先生。技術もあるのに、生徒の普段の生活もみる、しつけもちゃんとする、というタイプ。ああいう先生はすごいですよね。しかも何でもできちゃう。子どもがケガしたら、すぐに自分で車を運転して、知り合いのお医者さんに連れて行ってくれるみたいな先生(笑)。いいですよねえ。そういうことができる先生、うらやましいと思います。

Q:すべての生徒にここだけは絶対にやらせたい、守らせたいということは何ですか?

T:テンポですね。これはプロもアマチュアも、どんなタイプの人も関係なく、ちゃんとやらせたいことです。初心者であっても、一定の速さでちゃんと弾かせます。ただ、拍子感は、初心者には難しいですから、あるレベルまで行った人にしか教えられないんですけどね。2拍子は2拍子らしく、3拍子は3拍子らしく。当たり前のことなんですが、これが一番難しいんです。
とくに3拍子が日本人には難しいですね。日本人は1拍子民族ですから、2拍子も4拍子も難しいんですけどね。自分を奮い立たせながらやらないと拍子が取れないんですよ。あるいは、すごく調子よく弾けるまで弾きこんでいくしかない。
かといって、「拍子感がないですよ」というと、ものすごく速いテンポで弾こうとする人がいるんですが、そうではないんです。速いのにまったく拍子感のない演奏というのもあります。ゆっくりでも、きっちり拍子感を出したほうがいいんです。
音のミスなら本人もすぐわかりますが、テンポのミスは痛くも痒くもないし、なかなか気づきにくいでしょう。とくに緊張して弾いている人は、テンポがどんどん速くなっているのにぜんぜん気づいてないことが多いですね。これでは拍子感にまで気がまわる余裕もない。そういうことがミスだというふうに思っていない人も多いんじゃないでしょうか。
でも、音楽の本質はここなんですよ。ミスタッチがないけれど拍子感がない演奏と、少しミスタッチはあるけど拍子感のある演奏を比べると、拍子感のある演奏のほうがずっと上手に聞こえます。いくら音のミスがなくても、テンポ感と拍子感がなければ、それはヘタな演奏に感じられます。だから、ミスタッチ以上に、テンポと拍子には気をつけてほしいというふうに教えてますし、そこはちゃんとやらせたいことですね。拍子感が合ってくれば、ミスタッチも減るんですよ。テンポと拍子感をないがしろにするから、ミスをするんです。
それから、フレーズですね。ベートーヴェンがフレーズにものすごくうるさかったという話があります。たとえば「今日は雨が降っています」という文章を、「今日、は雨、が降ってい、ます」みたいな弾き方をすることをものすごく怒ったそうです。なぜなら、ミスタッチは偶然におこることですが、フレーズのまちがいは普段からできていないからだと。本当にその通りですよね。そのためにバロックと古典派は特に原典版をしっかり読み込まなければなりませんね。

metoro

Q:ピアノを教える人すべてに読んでほしいおすすめの本はありますか?

T:ぼくの『ピアノ大全』を読んでもらいたいです。ピアノのことについては、あそこに書いてあることは全部知っておいてほしいと思いますね。ただあの本も中途半端になっていて、<1>と銘打っているのに、<2>が出ないままになってしまってまして。出版社の体力がなくなっちゃったらしいんです。読んでいただくなら、本当は『ピアノを読む』のほうがいいんですが。あれをもう一度書きなおしたほうがいいのかな。でも、同じ本ばかりいつまでも書いているという感じがしちゃうなあ。

ピアノ大全

ピアノ大全(ヤマハ・ミュージックメディア)

Q:歴史的なピアニストや音楽家で、先生が学びたかった人といえば?

T:もちろんフンメルです。それからエルツ(ヘルツ)。1803年生まれのピアニストです。ピアノのテクニックのトレーニングに長けていた人で、指を鍛える器具をつくったり、ピアノも自分でつくっていた人です。ピアニストであり、ピアノ教師であり、ピアノ製作者でもあった。それから、カルクブレンナー。リストのライバルで、ショパンに「ピアノを教えてあげようか」と言って断られたという逸話がある人です。流行ピアニストだったので、ショパンは「この人は二流だ」と思って断ったそうですよ。ちょっとおもしろそうな人でしょう。でも実際は、ショパンに教えられるくらいですから、リストに匹敵する技術をもつ第一級のピアニストだったんですよ。

  • フンメル

    フンメル

  • ヘルツ

    ヘルツ

  • カルクブレンナー

    カルクブレンナー

Q:ピアノにまったく関心ない人に、ピアノを習う気にさせるようなコロシ文句ってあります?

T:うーん、なんでしょう。美容と健康にいいとか言えばいいのかな。指の活性化に役立つからボケ防止にいい、認知症になりにくいとか。アタマもカラダも使うから、老化しないとか長生きできるとか。そうやって書いちゃおうかな(笑)。集中力が身に付くとか。うーん。でもやっぱり、「楽しい」ということなのかなあ。
たとえば、絵だと、美術館に行けばダ・ヴィンチやレンブラントの作品を見ることはできますけど、それ以上触れられませんよね。でも音楽は、モーツァルトやベートーヴェンやショパンやブラームスを、いくらでも自分の手に取ることができる。それを音で再現することができるわけですよ。歴史的な「美術品」を、自分で触って演奏できるんですから、そういうことって楽しいと思いませんか。
ああ、脱力を習うと肩こりが治るってよく言われますよ。ピアノがうまくなる前に、肩こりがなくなったって喜ばれます。ピアノの効能「肩こり予防」はいかがでしょうか。(笑)

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